Emerging issues
前立腺生検および根治的前立腺切除標本において、前立腺癌のグレードの報告方法については、他にも数多くの論争がいくつもある。
このチュートリアルは教科書としてではなく、実践的なグレーディングを簡潔に紹介することを目的とする。
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概略化した問題リストを提示する:
Global vs. highest GS in needle biopsies
グローバルGSとは、GSの診断対象となる全ての癌成分がコアに存在していることを意味する。
これは、ヨーロッパの大部分の病理学者が採用している。
欠点としては、コア内すべての癌が1つの同じ腫瘍から由来するかどうかわからないことである。
Highest GSとは、いわゆるGSが個々のコアの中で一番高いGSを指す。
これは北米でより一般的に使用されている。
欠点としては、より高悪性度の癌を少量持つコア(例えば、他のコアが3 + 4である中で、4 + 4が1つのコアにある場合)が、その症例のグレードの過大評価につながる可能性があることである。
RP検体における同時多発性癌のグレーディング
ISUP 2005の推奨事項としては、各腫瘍結節を別々に評価することであった。
しかし、その定義(dominant or index tumor)に関してはコンセンサスが存在しなかった。
ほとんどの場合、一番大きい腫瘍には、一番高いグレードが含まれているが、時には小さな腫瘍のグレードが高い場合がある。
さらに、時にはどの病巣が別々の腫瘍であるか決めることが困難な場合もある。
大型のがんでは、進展する別個の腫瘍が1つに合体したように見えることがある。
RP検体でもグローバルGSを使用する人がいるが、上記の問題を回避する方法でもある。
第3パターンが一番高いグレードの報告
針生検でGS 4 + 3 = 7の癌に小さなGP5を含めると、GSは7から9に移行し、ISUPグレードは3から5に変わる。これが正当性が問われている。
これもまた議論があるが、例えばRP検体に少量のGP5がある場合それを含めるべきという意見である。
第3パターンであってもGP5を含める必要がある場合、その閾値は何%なのか?
RP検体における、一番高いグレードの成分が5%未満の報告
ISUP 2005コンセンサス会議では、RP検体には含めなかったが、生検では一番高いグレードが5%未満の小さな病巣をGS評価に含めることを決定した。
RPでも同じ評価方法が推奨されている。
しかし、問題は腫瘍全体が評価できる場合、少なくともGP4程度の微小領域が頻繁に存在することである。
これがGSに含まれると、GS 6は多かれ少なかれ消失し、グリーソンスコアーの上昇傾向はさらに加速され、そして、広がりのないスコアで構成された場合、グリーソンシステムは予後予測能力を失うであろう。
Reporting of % Gleason pattern 4
グリーソン4/5の割合が予後と相関することは、1990年代後半に既に示されている。
ISUP 2014では、これを%Gleason grade 4というように少し改良した形で再導入することが提案された。
その目的は、GS7の腫瘍において、GP4成分の量を臨床医によりよく伝えることである。
ISUP 2005改訂版のグリーソン分類では、例え僅かな高いグレードの癌さえもGSに含めることに決定した。これにより、グリーソンスコアーの大幅な上昇が生じた。
その結果として、GS7の癌でもわずかな量のGP4を有する場合は、もしかするとactive surveillanceに適しているかもしれない。
しかしながら、いくつかの解決すべき問題が残っている。
針生検において、各コアの計測を報告する必要はないと推奨されている。これは、病理学者にとってはあまりにも扱いにくく、また臨床医にとってはあまりにも混乱する情報量である。
生検中に含まれる全ての癌における、%GP4を報告することが提案された。
これは報告を容易にする一方、診断において数値の一番高いGSが使用されると混乱を招く可能性もある。
仮に最も高いGSが4 + 4 = 8で、腫瘍全体のGP4成分が10%であれば、臨床医が情報が矛盾していることにすぐに気づく。
グローバルGSが診断に使用された場合、% GP4の報告と合致する方法では齟齬は少なくなる。
%GP4のもう一つの問題は、その評価はGP4の割合の評価なのか、それとも癌細胞の量の評価なのかどうかである。